二十世紀を代表する商品のひとつが、ここを源流として生まれた。
ここは、京都の本願寺の門前につながる、その名も正面通りの鴨川のほとり。
ここに、ひっそりと佇む建物がある。
あのテレビゲームでその社名が一般名詞化した、あのN社の旧本社である。
京都市の代表的な近代建築として、日本近代建築データベースにも登録されている由緒ある建物。
雨上がりの昼下がり、静寂が支配する。
あの無機質な電子音やCRTに踊るキャラクター達の喧噪も、この世へ生まれるのにあと数十年を経ることになるのだ。
当時は、どんな人々がこのドアを通ったのだろう。
その人々は今のゲームをどう見るのだろう……
トランプやカルタ、花札が娯楽だった時代の空気がこのドアの向こうに濃厚に漂っている。
N社から角をひとつ曲がった道沿いの、M社の販売店。
電化製品が、家庭の中心に備え付けられた時代を物語る看板。
現代まで生き残った、エレクトロニクスの黎明期の遺物たち……
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